【R講座】Steel-Dwass検定の方法と実践

R

この記事では、Steel-Dwass検定について紹介しています。

Steel-Dwass検定とは

Steel-Dwass検定は、複数の群間での代表値の差を比較するための非パラメトリック検定です。

前提設定

  • 対応の有無:どちらもOK
  • 正規性:不要
  • 等分散性:必要
  • 群数:3群以上
  • データ尺度:順序尺度または間隔尺度・比例尺度

仮説の設定

  • 帰無仮説(H0:各群の代表値に差はない。
  • 対立仮説(H1:少なくとも1つの群の代表値に差がある。

漸近法と正確法

漸近検定(ぜんきんけんてい、Asymptotic Test)は、大きなサンプルサイズを持つデータセットに対して行う統計手法です。この検定は、サンプルサイズが増加するにつれて、検定統計量の分布が特定の理論的分布に近づく(漸近する)という特性を利用します。

正確検定(Exact Test)とは、データのサンプルサイズが小さい場合でも正確なP値を計算するための統計検定方法です。これは、標本分布の特定の仮定に依存せずに、データのすべての可能な配置を考慮することで、帰無仮説を評価します。正確検定は、漸近検定が適用できない小さいサンプルサイズに対して有効です。

RでSteel-Dwass検定

関数と引数オプション

RでSteel-Dwass検定を実行するためには、NSM3パッケージのpSDCFlig関数を使用します。この関数には以下のような引数があります。

# pSDCFlig(x, g = NA, method = NA, n.mc = 10000)

# x: データを含むリストまたはベクトル
# g: xがベクトルの場合、必須のグループラベルベクトル。それ以外の場合は使用されない
# method: "Exact", "Monte Carlo", または "Asymptotic" のいずれか。分布の計算方法を指定。NAの場合、順列が10,000以下なら"Exact"、それ以外は"Monte Carlo"を使用
# n.mc: method="Monte Carlo"の場合、分布推定に使用するMonte Carloサンプル数

サンプル数が多いデータで正確法(method = "Exact")を実行すると、計算に時間がかかることがあります。

コード例と結果の見方

下記のコードでは、3つのグループのデータに対してSteel-Dwass検定を実行しています。pSDCFlig関数は、各群間のペアワイズ比較を行い、その結果を返します。結果はペアごとのp値として表示されます。

# NSM3パッケージをインストールし、読み込む
install.packages("NSM3")
library(NSM3)

# サンプルデータ
set.seed(123)
group1 <- rnorm(20, mean = 5, sd = 1)
group2 <- rnorm(20, mean = 5.5, sd = 1)
group3 <- rnorm(20, mean = 6, sd = 1)

# データをdataframeにまとめる
data <- data.frame(
  value = c(group1, group2, group3),
  group = factor(rep(c("group1", "group2", "group3"), each = 20))
)

# Steel-Dwass検定の実行
pSDCFlig(data$value, data$group, method = "Asymptotic")
# 結果
Group sizes: 20 20 20 
Using the Asymptotic method: 

For treatments group1 - group2, the Dwass, Steel, Critchlow-Fligner W Statistic is 1.3389. 
The smallest experimentwise error rate leading to rejection is 0.6108 .
  
For treatments group1 - group3, the Dwass, Steel, Critchlow-Fligner W Statistic is 4.0932. 
The smallest experimentwise error rate leading to rejection is 0.0106 .
  
For treatments group2 - group3, the Dwass, Steel, Critchlow-Fligner W Statistic is 2.6778. 
The smallest experimentwise error rate leading to rejection is 0.1406 .

この結果から、group1とgroup3 (p = 0.0106)の間には有意差があり、group1とgroup2 (p = 0.6108)、およびgroup2とgroup3 (p = 0.1406)の間には有意差はないと結論できます。


この記事では、Steel-Dwass検定について紹介しました。

次回はフィッシャーの正確検定の方法について紹介します。

この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

プロフィール
この記事を書いた人

農学の博士前期課程を修了した研究者の卵。
植物生理と環境調節をテーマに研究しています。

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