研究室に配属されたばかりの新入生や、これからRで統計分析を始めたいと思っている方へ向けて、【R講座】では、RとRStudioの基本的な使い方から統計手法の選び方、基本的なデータ分析方法までを解説しています。
特にRが初めての方でも安心して学べるように、難しいコマンドやコードは少なめで、RStudioのクリック操作を中心に進めていくので、プログラミングの経験がなくても大丈夫です。
実際のコードを交えながら進めるので、これからの研究やデータ分析に、ぜひ役立ててください!
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この記事では、コクランのQ検定について紹介しています。
コクランのQ検定とは
コクランのQ検定は、対応のある名義尺度データの群間の差を評価するための検定方法です。
前提設定
- 対応の有無:対応あり(例:同じ作物に対する複数の農薬の効果の比較)
- 正規性:必要なし
- 等分散性:必要なし
- 群数:2群以上
- データ尺度:名義尺度(例:病害あり/なし)
仮説の設定
- 帰無仮説(H0):処理の効果に差はない
- 対立仮説(H1):処理の効果に差がある
RでコクランのQ検定
RでコクランのQ検定を実行する方法を紹介します。
関数と引数オプション
コクランのQ検定を実行するために使用する関数は CochranQTest()
です。この関数は、次のような引数を持ちます。
CochranQTest(y, ...)
## デフォルトのS3メソッド
CochranQTest(y, groups, blocks, ...)
## 'formula'クラスのS3メソッド
CochranQTest(formula, data, subset, na.action, ...)
y
: 数値ベクトルのデータ値、またはデータ行列。groups
:y
がベクトルである場合、対応する要素のグループを指定するベクトル。y
が行列の場合は無視されます。ファクターオブジェクトでない場合は、ファクターに変換されます。blocks
:y
がベクトルである場合、対応する要素のブロックを指定するベクトル。y
が行列の場合は無視されます。ファクターオブジェクトでない場合は、ファクターに変換されます。formula
:y ~ groups | blocks
の形式の数式。data
: 数式内の変数を含むオプションの行列またはデータフレーム(または類似のもの:model.frame
を参照)。デフォルトでは、変数はenvironment(formula)
から取得されます。subset
: 使用する観測値のサブセットを指定するオプションのベクトル。na.action
: データにNAが含まれている場合に何をするべきかを示す関数。デフォルトはgetOption("na.action")
。
コード例と結果の見方
# 必要なパッケージをインストールおよびロード
if (!require("DescTools")) install.packages("DescTools")
library(DescTools)
# サンプルデータの作成
# 異なる農薬使用前後の病害有無データ
data <- data.frame(
Subject = factor(rep(1:10, times = 3)),
Treatment = factor(rep(c("A", "B", "C"), each = 10)),
Response = factor(c("No", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes",
"No", "Yes", "No", "Yes", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No",
"Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No", "Yes", "No"))
)
# コクランのQ検定の実行
CochranQTest(Response ~ Treatment | Subject, data = data)
# コクランのQ検定結果
Cochran's Q test
data: data
Q = 0, df = 2, p-value = 1
この結果から、p値が1であるため、通常の有意水準(例えば0.05)では帰無仮説を棄却できません。つまり、統計的な差は見られないと結論できます。
この記事はコクランのQ検定について紹介しました。
次回はピアソンの相関係数について紹介します。